8月10日の深夜に都内を出発し、かたぎ古香園のある滋賀県朝宮へ。
翌朝に到着、片木さんに無農薬のお茶栽培についてお話をうかがいました。

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滋賀県朝宮は、大津と信楽の境の標高400mの山の中にあります。
今から約1200年前、805年(延暦24年)に僧・最澄が留学先の中国より茶の種子を持ち帰り、中国に似た環境にあるということでこの地に植えたことに発する日本最古のお茶の生産地であります。信楽盆地の朝宮は、昼夜の温度差があり、日照時間も長くなく、柔らかで薄い茶葉ができるそうです。また、柔らかく蒸すことでお茶本来の香、旨みを味わうことができ、2煎でも3煎でも4煎でも楽しむことができます。水色は古代色の山吹色です。

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宇治茶も、本物は山吹色だそうです。
深蒸し茶が悪いといっているのではありません。産地間、流通の側によって「これがお茶」という固定観念を作られ、それを思い込まされるのは、違うのではないかなと思います。

朝宮茶は、一般消費者には全くといっていいほど知られていませんが、日本で一番高く取引される高級茶で、お茶業界では知らないところはないくらいだそうです。が、ほとんどが宇治に送られ、他産とブレンドされ「宇治茶」として販売されるそうです。

そんなことではもったいないと朝宮茶の直販を始めた片木明さんは、そのころはまだ農薬も化学肥料も使って栽培をしていたそうです。しかし、消費者の顔がみえる販売をしているうちに、農薬や化学肥料をたっぷりつかったお茶を飲んでもらうことに疑問をもつようになります。

お茶は収穫してから急須に入れるまで一度も洗いません。お湯を注いで飲んでいただく、つまり農薬がついたままのお茶を直接飲むことになります。その怖さに気付いたのが昭和50年ころでした。農薬散布後の体調の不良も感じていました。

それから周囲の反対を押して無農薬栽培を始めました。各地で無農薬栽培をしている人を探し訪ねますが、自家用分を少し作っている人はいても経営として無農薬栽培している人はいませんでした。人に売るものは農薬・化学肥料をたぷり使っても自家用は無農薬でというのは根性が違うといいます。それではお手本にはなりません。

先達がいない中、先駆者として無農薬栽培を始め、1、2年、「なんや虫を飼ってるのか」と言われながら、それでも止めようと思わなかったそうです。3年目、今年もだめだろうと思っていた処、4月に新芽が出てきて5月には害虫の大量発生を見ずに新茶ができたそうです。1滴の農薬も散布しなかったおかげで、蜘蛛・かまきり・テントウムシなどが戻りました。年々収穫量の増え、土壌も豊かになりました。

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他の生産者へ無農薬栽培の普及にも力を注いできました。

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大きい虫は大きな蜘蛛が小さな虫は細かい網を張る小さい蜘蛛が捕食します。朝の茶畑では、無数の蜘蛛の巣が茶を覆うように張られて朝露に光っててみえるそうです。

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茶の木の奥をみると、白くなったところがあります。クワシロカイガラムシの発生したところです。が、写真では見えるように写せなかったのですが、冬虫夏草のように寄生する小さい茶色の虫が付いています。害虫が発生しても天敵が被害を抑えるのです。

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片木さんのところでは紅茶もあります。今回初めて知ったのですが、昭和37年頃まではあちこちの産地で紅茶を生産していたんだそうで、日本は日本茶・紅茶の輸出国だったのだそうです。

片木さんのお茶、皆さんもぜひお試しください。

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北海道産小麦全量使用。うどん好きなら
一口で分かる「本物」のおいしさ

稲庭干饂飩

有限会社 佐藤養悦本舗
代表 佐藤信光

秋田県湯沢市の名産品「稲庭干饂飩」。江戸寛文年間に稲庭吉佐エ門によって作られたのが始まりと言われています。藩主への献上品や幕府への土産品として珍重され、その技は一子相伝によって三百年もの間守られてきました。私どもは、その技を受け継ぐことができた数少ない作り手であり、伝統の製法で「本物」を作り続けています。
稲庭うどんは、小麦粉と塩水を練っては熟成させて生地を作り、手綯(てない)いして延ばし乾燥させて作ります。当社では全工程を職人の手仕事で行っていますので、完成までには4日程かかります。また、職人全員が互いの出来を評価しながら一斉に工程を進めることで技と品質の維持に努めており、生地にしっかりと向き合えるよう工場には時計を置いておりません。職人は、香りや弾力等の「生地のメッセージ」を敏感に読み取りながら身体を動かし、熟練の技と感覚で仕上げています。
原料にもこだわり、小麦粉、澱粉、食塩と全て国産の厳選したものを使用しています。国産小麦粉はクセが強い上に色も水分量にもばらつきがあり扱いがとても難しいのですが、鼻を抜ける香りや確かなコシの強さ、喉越しまで主張し続ける小麦本来の豊かな風味は外国産では決して出せません。今では輸入小麦を使うメーカーがほとんどですが、当社は平成元年より北海道産100%で製造しています。
うどん好きの方なら、たった一口で当社のうどんのおいしさをお分かりいただけると思います。ぜひ一度ご賞味ください。

秋田県湯沢市稲庭町南ケ沢112
http://www.1728udon.com

編集部より
現在、稲庭うどんメーカーはたくさんありますが、国産原料100%で作られる稲庭うどんは、おそらく佐藤養悦本舗のみ。国産小麦の豊かな味わい、なめらかな舌触り、コシが強くもっちりとした感触。本物の味をぜひご堪能ください。寒い季節は、鶏だし等の温麺にしてもおいしくいただけますよ。

(良い食品通信vol.10、2013年冬号記事を再掲載)

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江戸時代の人々は、体調を崩して死んでしまう人が多かった暑い夏に、甘酒を飲んでいたそうです。街にはたくさんの甘酒屋が出て、甘酒売りは夏の風物詩でもあったそうです。

というのも、米麹から作る甘酒は、ブドウ糖やビタミンB1、B2、B6、必須アミノ酸など栄養分が豊富に含まれる、総合栄養ドリンク。消化も良く、夏バテ防止、疲労回復の栄養ドリンク剤として飲まれていたのです。

良い食品づくりの会の製品にも、一ノ蔵、杉田味噌醸造場、橘倉酒造、高木糀商店と、4種類の甘酒があります。それぞれ個性がありますから、ぜひこの夏、いろいろ試してみてください。甘酒パワーで、元気にこの夏の猛暑を乗り切りましょう。

写真は、江戸時代の甘酒売り「守貞漫稿」より(小泉武夫著「発酵は力なり」)

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清涼感ある味わいが特徴
「愛果(まなか)」100%トマトジュース

信州生まれのおいしいトマト 食塩無添加

株式会社 ナガノトマト
代表取締役社長 井垣孝夫

昭和32年の創業以来、私どもは、「食」は人の生命や健康に関わる大切な仕事であると考え、一貫して品質にこだわってまいりました。
昭和34年には日本初となる「無着色トマトケチャップ」を発売。当時は量産の時代であり、無着色のニーズはあまりありませんでしたが、先代たちは品質に対する強い責任と、お客様のためにおいしく安全に食べられるものを作りたいとの一心で、開発に取り組みました。この姿勢は時代を超えて受け継がれ、今なお私どもの「ものづくりの精神」として息づいています。
今回ご紹介した「信州生まれのおいしいトマト」も、私どもが、地元の契約農家の方々と強く連携し、努力を惜しむことなく作り上げた自信のジュースです。
原料に使用しているトマト「愛果(まなか)」は、千種類以上のトマトの中から交配、選抜を繰り返し、私どもが約十年の歳月をかけて開発した独自のブランド。真っ赤な色合いと、酸味と甘みのバランスの良さが特徴です。
また、一般的な濃縮還元ではなく、摘みたてをすぐに搾ってパックする「ストレート製法」を採用し、絞り加減をゆるめに抑えて、雑味がなく、フレッシュでさらっとしたお飲み口に仕上げております。
愛果(まなか)100%。トマトのおいしさを存分にお楽しみください。

編集部より
愛果(まなか)のおいしさの秘密は、松本の気候にもあり。日照時間が長く、降雨量が少ない、昼夜の温度差が大きいなど、松本は世界でも有数のトマト生育に適した場所なのだそうです。

(良い食品通信vol.3、2011年春号記事を再掲載)

編集部です。
練馬の協力店会員・自然村さんが、8月4日(日)に講演会「たねが導く豊かな世界」を開催します。

私たちの食卓にならぶ野菜は、実に90%がF1種という種子から作られています。
この種から育った作物は、形が揃う、見た目がよい、すぐ大きくなるなどの特徴を持っており、1960年代に作られて以降、効率性・経済性を求める高度経済成長の中、またたく間に全国に広まりまったそうです。

しかし、一代限りの雑種なので、農家は毎年種苗会社からF1種を購入しなければなりません。昨秋公開された映画「モンサントの不自然な食べもの」は、この種子を支配して利益ばかりを追求するグローバル企業の実態、そして現在の「食」の経済構造に強い疑問を投げかけて話題となりました。

その一方、代々農家はできの良い野菜のタネを採種し、翌年にまた蒔いて収穫することを繰り返してきましたが、何世代に渡って作り続けられるうちに遺伝性が安定した「固定種」という品種があります。

有機であれ無肥料自然栽培であれ、農法の前に「種子」の大切さに気づいた自然村さんは、7年前から在来種・固定種・自家採種の野菜を販売してきました。今回の講演会は、在来作物とたねの楽しさに浸る内容となっているそうです。ご興味のある方、ぜひご参加ください。

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講演会「たねが導く豊かな世界」を開催します! 自然村 吉村文夫

7年前、有機であれ無肥料自然栽培であれ、農法の前に健康で生命力ある自然な種子が大事ということを知り、在来種・固定種・自家採種の野菜を販売してきました。初めは手探りで。
少しずつたねとり農家さんとの付き合いが増え、第38回日本有機研究会全国大会で長崎県雲仙市でたねを採り、生物多様性農業を営む岩崎政利さんと出会いました。

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生物多様性農業を営む岩崎政利さん

岩崎さんと出会い、岩崎さんの野菜と出会うことで、新しい段階に入りました。たねが自然か自然でないか、安全か安全でないか、美味しいか美味しくないかの点だけでなく、たねが私たちの過去と今と未来を豊かに繋いでくれていることを知りました。単一でない個性豊かな野菜たちの美しさ可愛さ面白さ!

毎週金曜日に届く野菜箱を開ける時はわくわくします。どんな野菜が入っているかなと。見たことも食べたこともない野菜たちにどれだけたくさん出会ってきたことでしょう。どうやって食べたらいいだろうと困ることもあります。食べてみたらとびっきり美味しかったり、普通だったり。色の美しさに感動することは度々です。

お客さんたち、岩崎さんの野菜を選んで買ってくれる人、なにげなく買ったものが岩崎さんの野菜のこともあるでしょう。このどうして食べたら美味しいのかしらと首を傾げさせるけど、食べたら美味しい!野菜を作っている人に会ってもらいたいな~、その自然観に触れたら新しい世界が広がるのではないかと思い続けていました。

この度、機会を得て、岩崎政利さんのお話会を開くことになりました。また縁あって雑穀と在来作物と食文化の研究者である増田昭子さんにもお話しをしていただけます。

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雑穀と在来作物と食文化の研究者、増田昭子さん

前置きが長くなりました。是非、みなさまの参加をお待ちしています。
参加するみなさんと共に雲仙の命巡る畑に立って種子を守り続けることの本質を感じる、そんなライブ感ある会にしたいと思います。まる1日をたっぷりと在来作物とたねの楽しさに浸る会にしましょう。

この企画にはたくさんの方の支援があります。参加を楽しみにしていてくださるみなさま方や相談にのってくださっている渋谷のオーガニックレストラン「デイライトキッチン」塚本さん、みなさんに感謝です。

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講演会 「たねが導く豊かな世界」

●日時  8月4日(日)10:00(9:30受付開始)~14:30   
●会場  スタジオ・ワイズ
     練馬区関町北2-26-17 ワイズ2ビル 地下1階
     西武新宿線武蔵関駅南口徒歩1分
     アクセス http://studio-ys.jp/access.html
●会費  5000円(食事・飲み物含む)
●申込み・お問合せ
     自然村 電話03-5927-7787
     詳しくはhttp://blog.sizenmura.jp/article/70959722.htmlまで。
     当日のスケジュール等もこちらでご確認ください。
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